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​2.上手くいっている中小企業の

  経営者に共通する特徴

優秀な中小企業の経営者の方とお話ししていると、

何度も修羅場をくぐり抜けてきた経験により獲得した、圧倒的な「力」を感じます。

実際の経験に基づいた「力」なので、それを言葉で論評するのは無意味なように思いますし、

私如きが言うのは僭越もよいところとは思うのですが、敢えて話を進めさせてもらいます。

​先ず、前回のOPINIONでも登場した、中小企業の一般的なイメージ図です。

税理士

個人保証

​経営者

​株主

営業

製造

​ロジ

経営者は現場で起こっていること、CASHを自らコントロール。

情 報

銀行

​会 社

決算書

税金の申告書

​税務署

この構図でなくてもそうなのですが、どんな会社であっても、会社の要(かなめ)は経営者です。

​ただ、この構図の場合、株主は「=経営者」であり、別の人間が、株主として経営に関与することはない。従って、仮に経営者の能力が低かったとしても、経営者が代わることがない。

また、銀行も経営に関与していない。

 

例えば、今年の3月に倒産した「てるみくらぶ」という会社。若し、銀行が個人保証や不動産担保を取らず、事業のみを担保に融資をしていたのであれば、あそこまで行かずに、もっと早い段階で「待った」が掛かった筈なのに、他の多くの破綻事例と同様、ギリギリまで行ってしまう。

そういう意味でも、この構図は、良くも悪くも、より一層、経営者次第になる。

ということで、今回は、中小企業の経営者について、優秀な「経営者」に共通して見られる(と私がいつも感じる)特徴を、以下、記載してみます。

​先ず、当り前のことですが、優秀な経営者は、会社の事業について、熟知している。

こちらの質問に対し、澱みなく、ロジカルに、細かい点でも、スラスラと答えてくれる。

顧客、仕入先、製品・商品、従業員、工場、倉庫、競合、市場環境、等々、事業に関係することは、何についてでも、隅から隅まで把握している。

何がどう上手くいっているのか、何がどう上手くいっていないのか、それに対して、どのように対処するのか。問題の本質を把握する力、それに対する判断、人を動かす力。圧倒されます。

そして、全ての情報は社長に集約し、会社の動くべき方向は社長から示される。

次に、そういう経営者に共通する、もう一つの特徴として、CASH(現金・預金)に対して非常にシビアなことが挙げられる。

例えば、

銀行届出印やATMカードは、社長が自ら保管していて、他の人には触れさせないようにしている。

パソコンバンキングであれば、承認者は社長一人になる。

また、CASHを支払う時は、それにより得られる価値が、支払に見合っているか、細かいところまで拘る。

仕入れ、固定資産の購入、経費の支払い、人件費の支払い、どれをとっても同じことが言える。

なので、余計な出費をしない。

売上は、と言えば、必ず、CASHを回収できなければならないと考えている。逆に言えば、CASHを回収できない売上は、売上ではないと考えている。

今、CASHが幾らあって、例えば、これから一ヶ月の間に、いつ、どこから、幾ら入ってきて、仕入に幾ら、人件費に幾ら、その他の経費に幾ら出ていくのか把握している。

従って、一ヶ月後はこのくらいの残高になる、といったことがスラスラと言えてしまう。

なので、少しでもおかしなことがあると、直ぐに社長のアンテナに引っ掛かる。



 

結局、CASHが完璧に掌握できていれば「会社は回る」、という経営の本質を、幾多の経験を経て、肌感覚で体得している、ということなのだと思います。

CASHがあれば、会社は潰れない。

CASHが増えなければ意味がない。

CASHは通帳にある事実なので、将来の通帳のイメージも頭に描けるなら、紙の上のどんな数字よりも強い。

売上も、仕入も、粗利も、経費も、人件費も、税金も、利益も、全てCASHとして把握し、将来図もCASHにより、頭の中に描けている。

なので、税務署に提出するために税理士が作成する決算書について、経営者が、それにより税金の支払が幾らになるのか、という以上の関心を持たないのも当然のことになりますし、

どの外部関連者からも要求されない「一般に公正妥当と認められた企業会計の基準」に基づいた決算書を作成する必要性を感じていないのも、当然の成行きになる訳です。

といった点が、上手くいっている中小企業の経営者に共通する特徴として、私が感じていることになります。

特に、CASH重視という点は、繰り返しになりますが、本質だと思います。

それと、優秀な経営者の方というのは、熟練の職人に近い存在のようにも感じます。数々の困難を乗り越えてきた、経験に基づく経営であり、試行錯誤の連続により形作られた経営なので、恐ろしく強い。

そして、唯一にして、最大の問題はと言えば、「その人でなければならない」ということ。

この点については、その人がいない場合に、そのまま上の構図を当て嵌めてしまうことの「不幸せ」について、今後、検討していきたいと考えています。

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いつも頭の中で、事業のことばかり考え続けているんでしょうね。

​いつも営業車は、中古車を買うんですね。

YY社の入金、今月は遅いね。

一流企業の社長でも、CASHで考えられない人が多いのにね。

「『あなたがいなくても、会社が回るようにすること』が、あなたに課せられたアサイン(課題)の一つです。」

(某欧州系企業)

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